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 E.coliクローンDirect-PCR 

 プラスミドに DNA断片をクローニングするとき、出てきた大腸菌が、本当に目的のクローンを持っているかどうか確認する必要がある。このような場合、一般には、大腸菌からプラスミドを回収し、制限酵素による切断パターンにより判断している。しかし、この方法には、それなりの時間と労力が必要とされる。ここでは、大腸菌からプラスミドDNAを、ファージからλDNAを回収することなく、短時間にその大腸菌あるいはファージが目的のクローンを持っていることを、PCR により確認する方法を述べる。


  1. 大腸菌のプラスミドの確認

     ここでは、LBプレート上に形質転換を行った大腸菌のコロニーが形成されているとして、説明を行う。形質転換に関しては、別項(大腸菌の形質転換)を参照していただきたい。

    1. 準備する物

      1. 20T-2E-1%Triton
        20mM Tris-HCl(pH8.0)
        2mM EDTA
        1% Triton X-100

      2. PCR 溶液
        10mM Tris-HCl(pH8.3)
        50mM KCl
        1.5mM MgCl2
        100μM dNTP
        1μM M13 forward primer
        1μM M13 reverse primer
        0.25U Ampli-Taq DNA polymerase

      3. つまようじ
      4. エッペン
      5. チップ
      6. ピッペトマン
      7. DNA Thermal Cycler
      8. ミネラルオイル、

    2. 実験方法

      1. つまようじの先をライターで燃やし、丸めるた後、オートクレーブする。
      2. 20T-2E-1% Triton 20μl を PCR 用エッペンに分注する。
      3. つまようじでコロニーをとる。
      4. 大腸菌の付いたつまようじは、そのまま 20T-2E-1% Triton 入り PCR 用エッペンに入れ、大腸菌を懸濁する。
      5. 94℃, 15 分加温し、その後、4℃にする。DNA Thermal Cyclerを用いると 便利である。
      6. 15,000rpm、1 分間、4℃で遠心する。
      7. 上清 1μl を 19μl の PCR 溶液に加え、ミネラルオイル 10μlを重層する。
      8. 94℃で 30 秒、 60℃で 30 秒、72℃で 30 秒を 25 サイクル行い、さらに 72℃で 5 分、保温する。反応終了までの所用時間は約 1.5 時間である。
      9. 10μlを電気泳動し、目的の位置にバンドが見られるか確認する。増幅される大きさによって、アクリルアミドを用いるかアガロースを用いるか決める。目安としては、数100bp以下の場合には、アクリルアミドゲルを用 いる方がよいが、簡易的にはアガロースゲルを用いても良い。なお、それぞれの電気泳動法については、別項(PCR法---ゲノムDNA、アガロース電気泳動法)を参照のこと。

  2. ファージ DNA の増幅

     ここでは、LBプレートの上にファージプラークが形成されているとして、そのシングルプラークにクローニングされているインサートDNAの大きさを決定する方法を説明する。cDNAをクローニングをクローニングしたとき、目的の大きさのものかどうかを確認するときなどに便利である。

    1. 準備する物

      1. λ希釈バッファー
        10 mM Tris-HCl(pH7.6)
        10 mM MgSO4

      2. PCR 溶液
        10mM Tris-HCl(pH8.3)
        50mM KCl
        1.5mM MgCl2
        100μM dNTP
        1μM M13 forward primer
        1μM M13 reverse primer
        0.25U Ampli-Taq DNA polymerase

      3. エッペン
      4. チップ
      5. ピッペトマン
      6. DNA Thermal Cycler
      7. ミネラルオイル、

    2. 実験方法

      1. シングルプラーク(λZAP II)を 100ul のλ希釈バッファーにとり、室 温で一晩放置する。
      2. 10ul を PCR 用エッペンにとり、94℃で 15分加温し、その後、4℃にす る。
      3. 上清 1ul を 19ul の PCR 溶液に加え、ミネラルオイル 10μlを重層する。
      4. 94℃で 30 秒、 60℃で 30 秒、72℃で 2 分を 25 サイクル行い、さらに72℃で 5 分、保温する。
      5. 反応物のうち、10ulをアガロースゲル電気泳動し、目的の位置にバンドが見られるか確認する。電気泳動法については、別項(アガロース電気泳動法)を参照のこと。


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