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 Plate Lysate 


 この方法は、プレート上にファージプラークを形成させ、その上に直接SM bufferを加えてファージ粒子を懸濁させ、それを回収してファージDNAを単離するものである。プラーク形成は、スクリーニング時のファージのプレーティングと同様な手順で行い、プレート上にできる限り多くのプラークを形成させるだけなので、非常に簡単にできる利点を持つ。欠点としては、単離できるDNA量が少ないことや、agaroseなどがSM buffer中に混ざり、単離したDNAが制限酵素で切断できない(可能性がある)などの問題が生じることである。

  1. 試薬一覧

    1. NZYM
      Casamino acids 5.0 g
      Bacto-yeast extract 2.5 g
      NaCl 2.5 g
      MgSO・7HO 1.0 g
        500 ml (pH7.5) & オートクレーブ

    2. 20%マルトース
      Maltose Monohydrate 2.0 g
        10 ml & フィルター滅菌

    3. LB-top agar
      Bacto-tryptone 1.0 g
      Bacto-yeast extract 0.5 g
      NaCl 0.5 g
      agarose (Takara) 0.7 g
        100 ml (pH 7.5) & オートクレーブ

    4. SM buffer
      NaCl 2.9 g
      MgSO4・7H2O 1 g
      1M Tris-HCl(pH 7.5) 25 ml
      2% gelatin solution 2.5 ml
        500 ml & オートクレーブ

    5. 20%PEG・2M NaCl
      1M Tris-HCl(pH 7.5) 5 ml
      (in λdiluent) MgSO4・7H2O 1 g
      NaCl 58.4 g
      PEG (Mol.Wt.8000) 100 g
        500 ml & オートクレーブ

    6. RNase (10mg/ml)
        ファージDNA単離用であるから、DNase -freeである必要なし。
    7. DNase (10mg/ml)
        ファージDNA単離用であるから、RNase -freeである必要なし。
    8. 0.5M EDTA
    9. 10%SDS
    10. フェノール:クロロホルム (1:1)
    11. 1×TE

  2. 実験操作

    1. 100ml滅菌三角フラスコにNZYMを5ml入れ、20%マルトースを50μlと1M MgSO4を50μl加えて、そこにシングルコロニーから取ってきた宿主大腸菌を植菌し、37℃,170rpmで約10時間振とうする。大腸菌が液体培地中で増殖し、液が白く濁る(OD値,A600=2が最適)。
    2. 滅菌試験管に1.で培養された大腸菌100μlを分注し、適当に希釈されたファージ溶液を適当量加えて37℃で20分間インキュベートする(ファージの感染)。ここで、感染させるファージ量によって、プレーティング後にプレート一面にプラークが形成されるように調節する。
    3. 50℃に温めてある液体状LB-top agarを3ml取って2.の試験管に流し込み、よく撹拌した後、それを37℃に温めてある1×LB プレート上に均一に注ぐ(プレーティング)。
    4. 10〜15分間放置し、LB-top agarを固める。
    5. プレートを、37℃で8〜10時間、逆さまにしてインキュベートする。
    6. プレート一面にプラークが形成されたのを確認した後、プレート上に直接SM bufferを6ml加える。室温で、1.5時間おだやかに振とうする。
    7. ファージの懸濁したSM bufferを15ml遠心チューブに移す。
    8. 7. を4℃で、8000rpm,10分間遠心し、上清を新しい15mlチューブに移す。
    9. 8.に120μlのRNase(10mg/ml)と6μlのDNase(10mg/ml)を加え、37℃で1.5〜2時間反応させる。この操作により、大腸菌のRNAとDNAが分解される。
    10. 20%PEG・2M NaCl(in λdiluent)を1vol.加えて、おだやかに撹拌し、氷上で1時間放置する。この操作によって、ファージ粒子が析出する。
    11. 10.を4℃で10000rpm,10分間遠心し、ピペットマンで注意深く上清を除去する。この操作をもう一度繰り返し、PEGを完全に除去する。この操作をPEGが無くなるまで繰り返す。
    12. SM bufferを0.5ml加え、vortexによりファージ粒子を懸濁する。
    13. 1.5mlチューブに移し、0.5M EDTAを5μlと10%SDSを5μl加えて、よく撹拌した後、68℃で15分間保温し、ファージ粒子を壊す。
    14. 13.にフェノール・クロロホルム(1:1)を1vol.加えて、おだやかに数分間反転することにより混合し、室温で12000rpm,3分間遠心する。上層を新しい1.5mlチューブに移す。
    15. 14.の操作をもう一度繰り返す。
    16. 15.に0.1vol.の3M酢酸ナトリウムと2.0vol.の氷冷100%エタノールを加え、-20℃で20〜30分間放置する。
    17. 4℃で15000rpm,15分間遠心し上清を除去する。
    18. 70%エタノール 500μlでDNAを洗い、遠心し上清を除去する。
    19. 室温で風乾する。
    20. 1×TEを50〜100μl加えて、DNAを溶解する。



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