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 簡易法 

  ゲノムDNAの単離

  1. 試薬類

    1. BufferA
      0.25M NaCl
      0.2M Tris-HCl (pH8.0)
      0.05M EDTA-2Na (pH8.0)
      0.1% 2-Mercaptoethanol
      2.5% Polyvinylprropydone (MW 40,000) Soluble
      ※ 2-Mercaptoethanol、Polyvinylprropydoneは使用直前に加える

    2. BufferB
      0.5M NaCl
      0.2M Tris-HCl (pH 8.0)
      0.05M EDTA-2Na (pH 8.0)
      1.0% 2-Mercaptoethanol
      2.5% Polyvinylprropydone (MW 40,000) Soluble
      2.0% Sarcosyl
      20.0% Ethanol
      ※ 2-Mercaptoethanol、Polyvinylprropydoneは使用直前に加える

    3. 2-Propanol
    4. 70% Ethanol
    5. Chloroform : Isoamylalcohol (24:1)
    6. TE (10mM Tris-HCl (pH 8.0), 1mM EDTA-2Na (pH 8.0))
    7. 7.5M Ammonium Acetate
    8. RNase A (DNase Free)
    9. Liquid Nitrogen

  2. 器具類

     乳鉢・乳棒
     冷却遠心器
     冷却小型遠心器
     ロータリーシェーカー
     ピペットマンとかいろいろ

  3. 方法

    1. サンプルの葉を採取する
      (朝方にサンプリング。なるべく小さく若い葉を選ぶ)
    2. 乳鉢、乳棒を液体窒素で冷やす
    3. 液体窒素の中にサンプルの葉を入れて磨砕する
      (この際、主葉脈は極力除くこと)
    4. 磨砕を続けながら、液体窒素を気化させる
    5. Buffer Aを25ml入れたコーニングチューブ(50ml)に磨砕した葉を入れ十分に懸濁する
    6. 氷上でサンプルが揃うまで放置
      (あまりためずに、次のステップへ)
    7. 遠心 4000xg, 10分, 4℃
    8. 上清を静かに捨て、チューブを倒立させて余分なバッファーを除く
    9. Buffer Bを5ml加える
      (この時、チップの先端で沈殿を穏やかに崩す)
    10. 37℃で30分インキュベート
      (この時ときどき穏やかに撹拌する)
    11. 等量のChloroform : Isoamylalcohol (24:1)を加え、シェーカーを用いて穏やかに撹拌する
    12. 遠心 4000xg, 10分, 室温
    13. 水層(上層)のみを新しいコーニングチューブ(50ml)に移す
      (冷やさない)
    14. 有機溶媒層の入ったチューブを再度遠心
    15. 新たに生じる水層を、13.のチューブに加える
    16. 0.54〜0.6倍量のIsopropanolを加え、穏やかに転倒混和する
      (0.6倍量以上では、タンパク質、ポリフェノールなどが沈殿)
    17. 20分間室温放置
    18. 遠心、4000xg, 10分, 室温
    19. 上清をデカンテーションで捨て、再度遠心、4000xg, 2分, 室温
    20. 上清をピペットで捨てる
    21. 沈殿に600ulのTEを加える
    22. 30ug相当のRNase Aを加える
    23. 沈殿が溶けきらない状態でも、エッペンドルフチューブに移す
      (なるべく全ての沈殿を懸濁させてうつす)
    24. 沈殿が溶解するまで65℃でインキュベート
    25. 沈殿が溶解した後に37℃で15分間インキュベート
    26. 1/2倍量の7.5M Ammonium Acetateを加え、転倒混和する
    27. 遠心、12000rpm, 10分, 室温
    28. 上清のみを新しいエッペンドルフチューブに移す
    29. 0.54〜0.6倍量のIsopropanolを加え、穏やかに混和する
      (静かに混和することで、DNAの糸くずができる)
    30. DNAの糸くずだけを、先端を切った1mlのチップで吸い上げ、
         新たなエッペンドルフチューブに移す
    31. 500ulの70% Ethanolを加え、糸くずをリンス
      (2〜3分かけてゆっくりと)
    32. 上清を捨てる
      (極力エタノールは除去する)
    33. 500ulのTEを加え、65度Cで溶解するまでインキュベート
      (一晩経っても溶けなければ、あきらめましょう)
    34. 30.の操作で残ったチューブは、遠心、12000rpm, 20分, 室温
      (DNAの糸くずができなかった場合も同様)
    35. 上清を捨て、再度遠心、12000rpm, 2分, 室温
    36. 沈殿を70% Ethanolでリンス
    37. 遠心、12000rpm, 5分, 室温
    38. 上清を捨て、再度遠心、12000rpm, 2分, 室温
    39. 上清を捨てる
      (極力エタノールは除去する)
    40. 50ulのTEを加え、65度Cで溶解するまでインキュベート
      (但し、DNAの糸くずができなかった場合は、500ulのTEに溶解)
      (一晩経っても溶けなければ、あきらめましょう)
    41. 1ulを電気泳動して(0.4〜0.8% Agarose)確認
    42. 分光光度計を用いて、濃度の測定
    43. おつかれさま

  ゲノムDNAの精製(オリジナル:除タンパクを兼ねた精製)

  1. 試薬類

    1. Pronase
    2. Chloroform : Isoamylalcohol (24:1)
    3. Phenol : Chloroform : Isoamylalcohol (25:24:1)
    4. TE
    5. 10x Pronase Reaction Buffer
    6. 100mM Tris-HCl (pH 7.8)
    7. 100mM EDTA-2Na (pH 8.0)
    8. 5% SDS
    9. 1M Tris-HCl (pH 7.8)
    10. 5M NaCl

  2. 器具類

     特別なものは使いません

  3. Pronaseの前処理:

     Pronaseは、精製の不完全な状態ですので、DNase, RNaseが入っております。前処理では、これらの夾雑物を失活させる過程ですので、決して「面倒くせっ!」と言わずにやりましょう(DNAがなくなっても知らないよん)
     なお、Proteinaseを用いる場合は、この過程は不要です。なお、Proteinaseをご利用の際は、Molecular Cloning 2nd EditionのAppendix, B-16をご覧下さい。私がPronaseを選んだのは、ただ単に「安いから」です。

    1. Pronaseを100mg/mlとなるように、滅菌水に溶かす
      (Voltexしてはいけません。失活します)
    2. 以下の要領で、前処理の反応液を作る
      • 1M Tris-HCl (pH 7.8) 10ul
      • 5M NaCl 2ul
      • 100mg/ml pronase in water 200ul
      • 滅菌水を加えて・・・・・ 1000ulにする。
    3. 37℃で1時間インキュベートする

    4. DNAのPronase処理

       Pronase処理反応液中のDNAの濃度は、高くない方が良いらしいと予備実験の結果が言っていました。
       反応条件は以下の通りです
      1. 上記条件に従って、反応液を作成する
        例えば
          DNA (170ug) 1.0ml
          Pronase (20mg/ml) 0.5ml
          Water 7.5ml
          10x Pronase Reaction Buffer 1.0ml
          10ml reaction in 50ml tube
      2. 37度Cで、一晩放置する
      3. 等量のPhenol : Chloroform : Isoamylalcohol (25:24:1)を加え、シェーカー上で穏やかに10分混和する
      4. 遠心、4000xg, 10分, 室温
      5. 水層(上層)を新しいチューブに移す
      6. 等量のChloroform : Isoamylalcohol (24:1)を加え、3.同様に混和
      7. 遠心、4000xg, 10分, 室温
      8. 水層(上層)を新しいチューブに移す
      9. 0.54倍量のIsopropanolを加え、穏やかに撹拌
        (少量の場合は、エタノール沈殿でも可)
        (間違っても、単純に0.54倍量のエタノールを加えないように)
      10. 室温で20分放置
      11. 遠心、4000xg, 20分, 室温
      12. 上清を捨て、再度遠心、4000xg, 2分, 室温
      13. 上清をピペットで除き、沈殿を1mlの70% Ethanolでリンス
      14. 遠心、4000xg, 5分, 室温
      15. 上清を捨て、再度遠心、4000xg, 2分, 室温
      16. 上清をピペットで除き、最初のDNA溶液の半分量のTEに溶解する

      17. 1ulを電気泳動して(0.4〜0.8% Agarose)確認
      18. 分光光度計を用いて、濃度の測定
      19. ごくろうさま


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