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抗原の調製
　 HPLC, SDS-PAGEなどの方法により抗原を精製する。精製の方法により、抗原性が異なる場合もあるので、精製法は充分に検討を要する問題である。精製を専門に扱っている人に聞くか、お願いするのも１つの手である。モノクローナ ル抗体のみを得る場合には、必ずしも精製する必要性はない。


マウスへの免疫
　 通常、数匹のマウス（Balb/c 5-8週齢 雌）を用意する。マウスのケージは、7-10日おきに中のおがくずを交換し清潔にする。マウスを飼育するために、それぞれの施設において、特別な場所がある場合には、そうしたところを利用す ると良い。1匹のマウス当り抗原100mgを60,30,10mgの3回に分けて免疫するのが １つの目安である。坑原の種類によっては、その量を1/10程度まで少なくしても、坑原ができる場合があるので検討を要する。同じ系統のマウスでも、購入先が異なるとできる抗体の性質が異なることがあるので、この点にも注意し、良い抗体が得られた場合には、購入した先と系統を記録しておく。

　それぞれの免疫の間隔は、2週間で行うのが普通である。1、2回目の免疫は等 量のFCA(Freund Complete adjuvant)と混合し、3回目は等量の-PBS(Calsium and Magnesium free phosphate buffer)と混合する。ただし、1匹のマウスに1 度に免疫可能な量は500μlが限界である。


準備
滅菌シャーレ数枚、滅菌した1-10mlのメスピペット数本、針(18G, 23G)付きプラスチック注射器（滅菌済み）、ピペットマン、チップ、FCA(DIFCO社 BACTO ADJUVANT COMPLETE FREUND)、-PBS、マウス（Balb/c 5-8週齢 雌）


実験操作

滅菌シャーレに抗原と等量のFCAを入れ、針付きプラスチック注射器で出したり、入れたりして充分に混ぜる。10-30分ぐらいで白くなり完成する。 -PBSの場合はこのように行う必要はない。この作業は、クリーンベンチ内 で行う。混合するときは、注射針を18Gを使い、混合が完了したら、23Gの ものに取り替える。

針の先にキャップをして、マウスを飼育している実験室に移動する。

注射器の中の空気を完全に除去し、針の先から混合液を少し出す。

マウスの頚部を左手の親指と人差指ですばやくつかみ、尻尾の付け根を小指でしっかりと押さえる。

70%アルコールで腹部を軽くふき、針をマウスの腹腔に入れ、すばやく注入する。


採血
　 採血は、3回目の免疫（ブースト）後、3日目に行う。ブースト後1ヶ月間は、10日おきに採血可能である。その後は、再びブーストを行い同様な間隔でほぼ 1年間（生きている限り）採血できる。


準備物
50ml遠心チューブ、白熱電球、メス、エッペン、恒温器、高速冷却遠心器、エッペン、チップ、冷凍庫、70%エタノール


実験操作


50ml遠心チューブのふたに直径1cmの穴を開け、底の部分を小さく切り取る。

マウスの胸部を白熱電球にかざして、心臓を1分ほど温める。

遠心管の先の方がマウスの口になるようにいれ、ふたの穴から尻尾を出す。

尻尾を引っ張り、肛門から5-10mmのところにある動脈をメスで血液が出るくらいに傷つける。

落ちてくる血液を200-500μl、エッペンに採取する。

取り終わったら、すぐ尻尾を放し、マウスを遠心管の中から出し、傷口を 70%アルコールで消毒する。

集めた血液は、37℃で1時間、4℃で1晩放置する。

4℃、3000rpm、10分間遠心し、上清の血清をポリクローナル抗体として使 用する。

保存は、10μlずつに分注し､-80℃(-30℃)で保存する。